【奥村進、山浦秀男の倨傲】
2005年11月11日埼玉県立芋水高等学校1年4組の生徒たちは6時限目に保健の授業を控えていた。朝のホームルーム中にクラス担任の城伸助より、「会議室にて後天性免疫不全症候群の病理を解説したドキュメンタリー映画の後半部を鑑賞する」という授業内容が語られた。 “【奥村進、山浦秀男の倨傲1】” の続きを読む
「学校での孤独」と「いじめ」という現象についての正確な図鑑を作りましょう!
2005年11月11日埼玉県立芋水高等学校1年4組の生徒たちは6時限目に保健の授業を控えていた。朝のホームルーム中にクラス担任の城伸助より、「会議室にて後天性免疫不全症候群の病理を解説したドキュメンタリー映画の後半部を鑑賞する」という授業内容が語られた。 “【奥村進、山浦秀男の倨傲1】” の続きを読む
立瀬将樹が昼休みの間じゅう図書館で過ごしているとの噂を聞きつけた山浦秀男は、まぶたをやや吊り上げて目を見開き、法令線から上の頬の皮を頬骨の方へ寄らせて小高く盛り、それとともに上唇の引き上げられたすき間から歯列を覗かせる、という表情で、立瀬将樹に問いかけた。
「人生楽しい?」 “【奥村進、山浦秀男の倨傲2】” の続きを読む
立瀬将樹は、彼を、驕慢の心を増長させるための道具としか考えていない山浦秀男や奥村進を思うと憤ろしく、同級生全員の目に醜態を晒したために自分の株が暴落していくのを想像すれば焦慮極まりなかった。 “【奥村進、山浦秀男の倨傲3】” の続きを読む
2005年11月25日の1年4組の保健の時限は、パソコンルームにて、日本で流行する可能性のある様々な感染症についてインターネットで調べるという企画に当てられた。パソコンルームにずらりと並ぶパソコンのどれを誰が使うかという指示は、城伸助からは特になされなかったが、そこに集まった生徒たちの大方は、何げなく情報の時限で定められている通りの席順で椅子に腰掛けた。 “【奥村進、山浦秀男の倨傲4】” の続きを読む
2006年1月31日、教室の中央に現れた十数人の男子生徒の輪の内で交わされる会話を背後に、立瀬将樹は耳をそば立てていた。輪の中心には、四日後に控えているクラス対抗ラグビー大会における1年4組のスターティングメンバーの一覧を記載するプリントがあった。 “【奥村進、山浦秀男の倨傲5】” の続きを読む
〈第一章~露出~〉
2005年3月15日、その日は中学校の卒業式の前日にあたり、私は「三年生を送る会」に送られる立場として出席しました。三年一組の男子に割り当てられた区画に、パイプ椅子が横に並べられてあり、私はその列の右端から1つ左側の椅子に座っていて、右隣にはBという同級生がおりました。 “【B毒の汚染】 第一章~露出~ その1” の続きを読む
ブラスバンド部の演奏があり、ビデオのスライド上映、部活ごとの後輩の出し物がありました、Bは声を出せる場面ならば「たっちゃん、ねぇ 猫のはなし!」「ウォイ」「オォイ」の掛け声の大きさを調節して、私のアゴを押し上げることを繰り返してきました。私の悔し涙は、はた目からは学校との別れを惜しんでいる感動の涙と見間違えられていたと思います。 “【B毒の汚染】 第一章~露出~ その2” の続きを読む
「三年生を送る会」が終盤に差し掛かった頃、合唱の企画がまとまって行われた頃であったと思いますが、Bが、飽きたということなのかさすがに可哀想になってきたということなのか、私のアゴに触りやめたことがありました。 “【B毒の汚染】 第一章~露出~ その3” の続きを読む
三年生が合唱する番となり、私たちは、演壇の上に整列したことと思います。
♪これから始まる~暮らしの中でだれかがあなたを 愛するでしょう~だけど 私ほど あなたのことを深く愛したヤツはいない~1