【逆に聞くけど楽しんでると思う?!】

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最初に速報が駆け巡ったのは、学級の半分の人数に対してだけであったわけですが、日にちが経って、波及はひそめく声に乗ってクラスのすみずみへと行き渡ってゆきました。
2005年6月5日には、視聴覚室で何かビデオ鑑賞の授業があり、授業が始まる間際の時間に、席順の都合で隣接した山浦秀男が、ふと私がそばにいることに気づいて、顔面を蔑視のありありと見える表情に変えて、
「人生楽しい?」
と問いかけてきました。
私は渋面を下げたまま何も答えることができませんでした。
2005年6月9日には、ある休み時間にトイレに入ると、洗面台の鏡に向かって、ワックスで髪型を整えている井村慶太がいて、私たちは、洗面台と小便器とで3メートル離れて並列した二人きりになりました。私が小用を終えて、半回しようとした時、井村慶太が鏡を向いたまま
「・・・図書室で昼ごはん食べてるんだってな」
と、話しかけてきました。
私は
「un・・・」
と答えました。
「・・・楽しい?」
さらに尋ねられました。心配そうな声でしたし、心から心配してくれていたのだと思います。
「ホンハスキナノ・・・・」
と、私は強がりを言いました。

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