【クラス内の疑問は深まりゆく】

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2005年5月24日には、体育の授業の前の、体育館へ向かう廊下で、私はふと並列した佐藤辰巳から、
「なあ毎日どこで昼メシ食べてんの?」
何の気ないように尋ねられました。廊下にはまだらに同級生がちらばっていましたが、特に耳を傾けて来る人もいないようでした。
面と向かって核心を突く質問されたのは初めてで、事前に何かうまい言い訳を考えていたわけでもなく、それでいて動揺を悟られないために、すばやく返答しなければなりませんでした。
「トショシツデタベテル・・・・」
私はどうにか人語を漏らしました。
「いいんだっけ?」
と、先方は少し苦笑いを浮かべて言いました。図書室内での飲食が禁止されているのは、つい一ヶ月前の新入生オリエンテーションでも触れられていた常識であったのです。私はすかさず、話頭を変えるために、「ソッチハドコデタベテルノ?」と逆質問をしました。昼休み中の過ごし方について不審がられている噂などない佐藤辰巳は心外そうに、
「え?俺?俺はだいたい教壇に座って・・・・・」

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