書名:蹴りたい背中
作者名:綿矢りささん
装丁:ハードカバー版
年刊:2003年
引用文のページ数&行数:p135、ℓ10~15
引用文に至るあらすじ:主人公長谷川初実は、学校のクラス内でどのグループにも属せていない女子高生。もうすぐ夏休みが始まることに安堵しかけるが、同時に夏休みが終わった後の、より強い疎外感に思いを巡らせる。
引用本文:『夏休みの先に続く、ひたすら息苦しい二学期。授業の合間の十分休憩が一番の苦痛で、喧騒の教室の中、肺の半分くらいしか空気を吸い込めない、肩から固まっていくような圧迫感。自分の席に座ったまま、クラスの子たちがはしゃいで話をしている横で、まるで興味がないのに、次の授業の教科書を開いてみたりして。この世で一番長い十分間の休憩。自分の席から動けずに、無表情のままちょっとずつ死んでいく自分』
管理人のコメント:やはり、綿矢りささんも不安な時に「息苦しさ」を感じたのでしょう。ところで、私が焦燥感を表現した文章には「胃の裏から染み出た酸が生じさせた蒸気が立ち昇って、」などと、上方向の流れについての記述が多いのですが、綿矢りささんは「肩の方から固まっていく圧迫感」と、肩部分について下方向への重みが生じると感じられたのだそうです。私も今度、焦燥感を感じる場面があれば肩の感覚がどうなっているかを確認したいと思います。